雑記


11月30日

 最強の能力ってなんでしょうか。
 個人的にそういう無敵な能力者は嫌いです。ですが、逆にそういう能力者に対し己の身一つ、もしくは弱小か応用の利かない愚直な能力で勝利するのは大好きです。
 弟はDIO様完全版が強いだろうと言いました。時止め無制限、解除自由。確かに最強すぎて対処法もなく無敵でしょう。
 ですが、逆に無敵すぎて対処法が思いつきません。初見で接近された状態ならもう世界に入門するしかないでしょう。
 事前に知っているならトラップの設置ぐらいの対処は可能でしょうが、逆に言うならそれぐらいしか欠点がありません。
 やはり、最強無敵の能力は嫌いです。


11月29日

 今日は何人かで焼肉を食ってきました。
 久しぶりなのでおいしくいただけたのですが、たれが一種類しかなく、値段のわりに量が少なかったのが不満です。まあ、おいしい肉だったので高かった、と思うことにします。
 ちなみに私は生っぽい肉が好物です。それこそ、芯がほんのり暖かいぐらいが一番おいしいと思っています。最悪、芯が少々冷たくても「まあいいや」で済ませられます。
 当然ユッケなどの生肉料理も好きです。もっとも、こちらは食べ過ぎると気持ち悪くなりますが。
 これは、多人数で焼肉などをするときに非常に強いです。今日の面子はほとんどがしっかり火が通っている、もしくは多少生でもいいがあまり生過ぎるのはいやだ、という人ばかりなので他の人に先んじて食べることができます。
 ……まあ、あまりやりすぎると嫌われますが。


11月28日

 投稿用の作品、ホームページ用の作品、共にいろいろいじっております。
 私は作品を一から書く場合、

1・話の一部(1シーン、キャラクター)を思いつく。
2・その一部に繋がるような部分をさらに思い浮かべる。
3・いくつかの部分を繋げるためのシナリオを考えつつ、設定を作る。
 (3’・そして設定を作って満足してしまう→バッドエンド)
4・物語の始まりを考え(もしくは思いついた1シーンを使い)はじめに何ページか書く。
5・満足の行く出だしが書けたら、あとは野となれ山となれ。

 こんな手順で書いています。はい、なんの参考にもなりませんね。
 ただ、わりと設定や話の一部だけなら思いつくたちなので、出し惜しめば話のストックだけなら「ジオンはあと十年戦える!」な感じです。
 もっとも、それを書く能力があるのか、すでに似たような作品があるのか、といった面はまったく考慮しなければ、ですが。

 ちなみに、アイマス大戦は割りと設定面を熟考して作っています。まあ、これにはサクラ大戦という偉大な道があり、その道から考え、模倣しているため労力はあまり使っていませんが。
 機会か要望があれば、設定も出してみようと思います。


11月27日

 足の爪を切っていて「左の小指の様子がおかしいな」と思い見てみると、たてにバックリと割れていました。
 そのままではあまり痛くないですがべりっと剥けると痛いのは確実なので、とりあえず引っかかりそうな部分を切り、絆創膏を……張ろうとしましたが、きらしてしまっていたようなので明日買ってきます。
 それまでに剥けたら……考えないことにします。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その16


 映像が終わり、助手がため息をひとつつく。
 どう観想を言っていいのか分からなかった。だが、疑問は多く残されているのは間違いない。
 その表情を見て、機先を制し館長が口を開いた。
「質問なら受け付けているから、どんどんしたまえ」
 その申し出はありがたかった。なぜ彼がこんな目にあったのか、それを紐解くのに彼の主観だけでは情報が少なすぎるのだ。
「……なぜ、反乱を起こしたはずの部隊に別系統の計画と思しき機体が混ざりこんでいたんですか?」
 直接彼に止めを刺したのはそれだ。彼の得た情報の限りでは、彼は“同胞”の討伐に向かったはずなのだ。それなのに、明らかに別の計画のものと思われる鉄の百足が最後に立ちはだかっている。
 それが反乱を企てた彼の同胞たちが途中で手に入れたもの、という可能性は低い。なぜなら、彼は敵が20人だと聞かされていたのだ。途中で手に入れた兵器まで確認しているとは考えにくいし、もし最初から含まれるのであれば19人と他計画の兵器ひとつ、とこんな風に言われなければおかしい。
「ああ、それは至極まっとうだが、真相を聞けばあっけない質問だね」
「真相を聞けばあっけない……?」
「そう。あの反乱はね、もともと存在していないのさ」
 存在していない。その言葉を、助手はすぐに理解することができなかった。
「簡単に言えば、実験だね。機体化歩兵の能力を調べるための。それも、悪いほうに」
「実験……それも、悪いほうって……どうして?」
「簡単だよ。似たコンセプトの兵器があれば、競合にかけるのは当然。そして、その予算を握るのは軍閥。機体化歩兵は、もっとも巨大な軍閥から外れた一派が進めていたものであって、百足はその逆だった。だから、計画を中止させるために、しかしデータは残せるように大掛かりな実験を仕組んで最後には負けるようにお膳立てしてたのさ。ま、失敗したようだけどね」
 よく聞く話だ。軍隊とは巨大な人の集まりであり、それを動かすには金が要る。そして、より大きな金を動かす力を持った一派には人も集まり、権力を集中させていく。本当に、致命的なほどによく聞く話だ。
「ですが、結果として彼自身はその優秀性を証明しました。消耗し情報が少ない状態で敵を撃破して見せたのですから。まあ、同胞がまったく手も足も出せなかったのが足を引っ張ることになると思いますが……」
「ところが、その同胞だと思っていた人たちはまっさらな人間なんだよ、これが」
「……は?」
「最初に言ったと思うがね、機体化歩兵の開発を推進したチームには金がないんだ。だから高価な機材を大量に使う機体化歩兵をそうそう作ることは出来ない。試作の機体化歩兵の類型総数は5体、そして当時稼動状態にあるのは2体だけだったんだよ。同胞って言われたのは、ただの雇われ一般人だ。まあ、命が安い時代だったんだね」
「そんな……」
 いくらなんでも汚いやり口だ。心ではそう感じるものの、脳は冷静に別世界のことであると評価を下しており、謎の多く、特別に強化されたわけでもない彼が多大な戦果をあげたわけと、なぜ他計画の機体が混ざりこんでいるのかを把握できたため、妙に落ち着いていた。
 そう、これは遠い未来に存在するはずの、もしくは目も眩むような過去にすでに通り過ぎた、ここからでは触れられない別次元の話なのだ。心が無理に脳を煮沸させようとしても、それを理解してしまっている以上「気分が悪い」という感想以上は抱けそうに無かった
「……それで、その後機体化歩兵はどうなったんですか?」
「うん、意外な形で結果を出しちゃったから予算が多少は上乗せされたんだけどね、数年後には百足もろとも凍結されて、完成することは無かったよ」
 館長の言葉を、無感動に受け止める。なんとなくそんな感じはしていたのだ。
 機体化歩兵が兵器たる理由。それは兵器、ひいては軍隊の役割を考えれば分かる。
 軍隊の役割。それは勝つことでも、戦争をすることでもない。軍隊としての形があることだ。
 軍隊としての形であるからこそ実際に戦争をすることができる。そして何より、「わが国にはこれだけの軍事力があり、攻撃すれば痛手を負う、あるいは貴国では勝てない」と政治力を高めることができる。
 そういった役割において、機体化歩兵は強い。なにせ、人の何十倍も強い能力を持った存在が、人にまぎれれば完全に隠れられるのだ。防御にも攻撃にもつきものである暗殺に、これ以上うってつけの存在はいない。
 だからこそ、為政者は恐れたのだろう。その力が、自身に向けられることに。
 いつの時代だって人間は勝手だ。だが、そんな人間の勝手さが生み出す最たるものが、残念ながら兵器といえよう。
 ここはそういうものを並べる『工廠』なのだ。ある意味で、『映画館』より、『美術館』より、人間というものの側面を正確に表している場所だ。
 軽くどことも知れぬ時空の少年に黙祷を捧げ、二人はこの場を後にした。


 ほぼ一ヶ月がかりでなんとか完成です。未完成といわざるを得ませんが。
 反省点が多々ありますが、むしろそれが出てきたということは自らを見つめなおすいい機会となりますので、甘んじて受け入れます。
 そして、先日の宣言どおり、中〜長編の執筆のため、そして再び投稿のため、しばらくさくっと(略)はお休みします。なにか思いつけば別ですが。


11月26日

「やる夫が殺人事件に挑むようです」を読み終わりました。
 正直に言えば、最初に想像していたのと方向性が違ったので少しばかり肩透かしを食らった感じですが、それでも十分に面白かったです。
 作者の方も言っていましたが、本格的な推理物ではなくメタな作品であり、前者を想定して読んでいると最後の話を受け付けられないかもしれません。が、この辺はひぐらしのプレイヤーなら十分許容でした。

 ただ、やらない夫、たったあれだけ入金するほうが手数料も取られてめんどくさいぞ。二千万の島をぽんと買えるだけの財力があるなら百万ぐらい出しておいたほうが後腐れもなかったろうに。
 と、これだけはひっかかったので書いておきます。

 そして、今日はさくっと(略)をお休みします。
 あんまり長く話のほうをやりすぎてしまったので、話が終わったあと館長たちに話させようと思っていた事を忘れてしまったので。


11月25日

 ちょっと興味が湧いたので、今日は「やる夫が殺人事件に挑むようです」を読んでみました。
 時間が無くて一話の前後半までですが、キャラクターの選択、動かし方、話の進め方、どれもこれもなかなか興味深く、学ばされることが多いです。
 こういう漫画とも小説とも違う、かといって紙芝居ともまた少し違う、掲示板で独自に生み出された新たなジャンルで面白い作品を生み出し続ける名前もない人々には、何か感じ入るものがあります。
 私ももっと頑張ります。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その15


 視覚を信じるなら、確かに相手の胸部にナイフは突き込まれている。経験を信じるなら、確かに俺の一撃は必殺のもの。手の感覚を信じるなら、ナイフは皮膚を裂き肉と筋を食い破り心臓まで達たはずだ。
 だが、自身の感覚以上に信頼を置いている勘が、即座にこの場から離れろと言っている。
 しかし、感覚が伝える必殺の手応えが、俺の動きを一瞬だけ遅くした。
 次の瞬間、臍の上に衝撃。背中に灼熱感。それに遅れてようやく陣地から無様に飛び降り、受身も取れずに肩から落着する。
 痛い。熱い。寒い。苦しい。そんな人間らしい感覚を即座にカット。応急処置を始めた肉体とその情報から体の状況を理解した。
 腹部には銃によって十以上の穴が空き、背骨も粉砕された。背中には左の肩甲骨から右の腰部までバッサリと切り裂かれたようだ。
 普通なら致命傷だが、即座に行われた止血により血の流出は少なく、痛覚をはじめとした感覚を無くしているのでショック死もない。だが、背筋を寸断され背骨にも何発か銃弾を受けてしまった。動くことはできないし、このままじっとしていても死は避けられない。
 絶望的な感覚の向こう、陣地から相手が顔を出し、再びあの世への扉をこちらに向けていた。
 その姿を見て、ようやく相手がなんだったのか理解した。
 コートをまとわぬ相手の体。そこに肉はなく、あるのは百足のような細い体とそこから広がる鈍色の節足だけだった。
 脱ぎ捨てられたコートが横に落ちてくる。何とか首を回しそれを見ると、コートの裏にはまるで生きている人間をそのまま骨から引き剥がしたような、赤く肉い体が内向きに貼り付けられていた。ちょうど見える内臓のうち、心臓と思しき物体には切り傷がある。
 機体化歩兵とは、現状では構想だけとはいえ人間を機械化して兵器とした兵科である。それに対を成す計画として、機械を限りなく人間のように振舞わせる計画があると噂程度に聞いたことがある。
 恐らく、相手はそれなのだろう。機械を肉に埋め込んだ俺たちと違い、機械が肉を着込んでいる身体。戦うこと以外の知識が少ない自分にとってはまったく未知の話ではあるが、今の自分の様子を鑑みるにその計画はひどく有効なのであろう。
 そう考えているうち、どこか遠くから銃声が聞こえて感覚のない体が何回も跳ねる。着弾は一発、二発……面倒くさい。とにかくたくさんの銃弾が体を貫き、四肢を完全に粉砕しつくした。
 俺が動けなくなったのを確認し、鉄の百足がするりと自分の横に歩み寄ってくる。そして、刃物のように尖った足を何本も向けてきた。先ほど俺がしたように、心臓を突くつもりだろう。意趣返しのつもりか、なかなか洒落のわかる機械のようだ。
 確実に俺は死ぬ。逃れようがない。
 妙に清々とした気分だった。死にたくはないが、どう足掻いても死ぬしかないと言う状況は、速やかに諦めを俺にもたらしてくれた。
 だから、こんなこともできる。趣味ではないが、一人で死ぬのはもっと趣味ではない。
 百足が俺の心臓を貫いた瞬間、俺の服の一部が爆ぜた。
 高指向性の爆風が百足に襲い掛かり、その身体を咀嚼し、微塵に砕く。
 制圧用にと持ってきた、動体感知センサー付きの爆弾を起動させたのだ。その爆発により、見えた限りでは百足の上半身はバラバラに、そして残された下半身も衝撃でどこかへ吹き飛ばされていったようだ。まず間違いなく、行動不能に陥らせただろう。
 だが、いくら高指向性とはいえ、俺もただで済んでいるわけがない。余波で胴体は寸断され、何より心臓を貫かれた段階で、人間としての俺は事切れていた。


 これで一応回想部分は終わりました。後は館長と助手の会話でしめです。
 正直、最初に想像していたものとかけ離れているためまとめきれていないところが多いですが、それはいずれ修正するつもりです。


11月24日

 暖かいかけ布団を出して一日ぐっすり眠ればたいていの病気は治ります。
 というわけで、完全回復です。いやあ、頑丈でよかったよかった。
 もっとも、大事をとって今日は一日中横になっていたわけですが。
 なので、買いだめていた仮面ライダーSPIRITSの五巻までを読みました。
 正直、今まで積んでいた自分に呆れるほど面白かったです。今風の美形が主役ではなく、かわいい女の子も出ませんが、そんなものは元より捨てている熱いのや特撮が大好きな人ならかなりお勧めできます。
 特にお気に入りはスーパー1の話です。元より空や宇宙が大好きなので、かなり感動し、熱くなりました。月にはとびきりの兎がいるんです。
 今度本屋をあさって続刊を買ってこようと思います。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その14


 だが、同胞だろうがなんだろうが、今目の前にいる相手は紛れもなく敵だった。
 死の国に繋がる暗い銃口が、無機質なまでに正確な動作でこちらに向けられる。しかし、今の俺には前進するしか選択肢が残されていなかった。
 なぜなら、有利な陣地を築いた相手に対抗するには圧倒的火力で陣地ごと吹き飛ばすか、陣地が無意味になるように接近戦を挑むしかなく、制限時間を抜きにしても勝つためにはこうして幾つもの死線をくぐり抜けて相手に接近するしかないのだ。
 だが、それももうすぐ終わる。すでに距離は十分に詰まっているのだ。後は、いかにして高台の上にある陣地へ飛び乗るか、という一つの問題しかない。
 しかし、飛び乗るためには一秒にも満たない僅かな時間ながら無防備に宙を移動する必要がある。焦り、無策に突っ込めば確実にやられてしまうだろう。
 相手の隙を誘発するように致命傷にならないような隙を見せ付けつつ、太陽を周回する星のように陣地の周りを移動する。
 そして、その瞬間が訪れた。
 銃撃が止まった瞬間、鋭敏になった聴覚がその音を聞いた。
 弾切れだ。
 相手はそうと悟られぬように断続的な銃撃を繰り返していたようだが、生憎と弾が切れる音を聞き逃さないだけの性能が、俺にはあった。
 リロードするまでの致命的な時間、予備の銃を構えなおすまでの僅かな時間、そのどちらの時間であろうとも俺なら陣地に伸び乗ることができる。
 迷いはなかった。もし相手が奥の手を隠していたとしたら致命傷を負うだろうが、どの道これ以上相手の隙を窺えば時間切れになる。
 低い障害物から三メートルほどの高さにある陣地へと飛び移る。
 見れば、相手は暢気にリロードをしていた。致命的な隙のほうだ。
 遠慮はいらない。確実に止めを刺すべく腰からナイフを取り出し、勢いを殺さないまま相手の胸部へとナイフを突き入れ、乱暴に抉った。



11月23日

 朝夕がかなり冷えるようになってきました。
 気をつけないと、私のように体調を崩しますので、注意しましょう。
 と、いうわけで、体の調子が悪いです。
 まあ、少々だるい程度なので、今日あったかくして眠ればすぐに治るでしょうが。
 もし明日雑記が更新しなければ、それは病状が悪化したと言うことで。


11月22日

 今日はいい夫婦の日です。
 と、いっても、私は結婚していませんので特に感想はありませんが。
 なので、なにか関係する話が無いかと調べてみたところ、今日はダルシムの誕生日だそうです。1952年生まれだそうで、生きていたら56歳ですね。まあ、あいつは560歳だと言われても何も不思議とは思いませんが。
 ……すいません、こっちもまったく関係ありませんでした。私、ダルシムは使いませんし。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その13


 走る、奔る。
 障害物を飛び越え、壁を蹴飛ばし、狙撃を潜り抜ける。
 直線距離にしたら二百メートルもなく、全力で駆け抜ければ十秒程度の距離なのに、障害物が、銃弾が、なにより拡張された感覚が、その距離を永遠のものにする。
 足は汚泥に捕らわれたように遅く、それから逃れようと跳ねれば粘液の中に放り込まれたようにゆったりと放物線を描く。
 わかっている。これは自身の感覚が以上に細かく世界を捉えているだけで、相手からすれば俺は高速で駆け抜けているはずなのだ。
 だが、もどかしさは変わらない。制限時間は俺にとって切れかけた命綱のようなものなのだ。たとえもうすぐ渡りきれるとわかっていても、できることなら余力を持って事を成したい。
 そうこうするうちに、僅かに高い障害物の上、お粗末ながら厄介な陣地の隙間から相手を除き見ることができた。
 目深にフードをかぶり、ひらひらしたコートのような服を着ているようだ。なんとも珍奇な恰好だが、油断はできないし、する余裕も無い。
 一瞬だけ射撃を加え牽制し、速度を落とさずさらに迫る。もう距離は五十メートルと離れていない。
 この距離になると、狙撃の利点はほとんどない。相手もそれは承知しているのか、陣地から覗く銃が狙撃用のものから機関銃へと変わる。
 それは、パッと見ただけでもわかる、自分が持っている銃と同じものだった。
 この瞬間、相手が自分と同じ機体化歩兵である事を思い出し、少し苦笑いした。
 なにせ、人を見ても同胞だとは感じられないのに、自分と同じ装備をしている相手には同胞という感情が湧くのだから。



11月21日

 小説ではない趣味の作業に没頭していたら気が付けば惨事ならぬ三時です。
 いや、趣味があるって素晴らしいですが、こうなると考え物です。記憶を掘り起こせば「まだ一時」「まだ二時」「三時まで二十分ある」という感じで時間の経過を甘く考えてしまっていました。
 そんな経験、ありませんか? 私はしょっちゅうです。

 続・三丁目の夕日を金曜ロードショー見ました。
 茶川さんの小説のくだりはわりと心に刺さる事もありましたが、概ね面白く感動的でよかったと思います。
 ですが、見た人によると重要なシーンを結構飛ばしていたとか。ううむ、さすがにそれを確認するためにすぐさまレンタルしてこよう、という気にはならないですが、多少気にはなっています。

 そして、これ以上はさすがに脳が限界ですのでさくっと(略)はお休みします。
 こんな調子でいつ終わるのか、不安ではありますが宣言どおり何があっても、たとえ「僕たちの戦いはまだ始まったばかりだ」エンドでも、必ず終わらせる所存です。


11月20日

 ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディを読み終わりました。
 期待をまったく裏切ることなく、素晴らしく面白い作品でした。本編に比べてイロモノが多く出現していますが、それがまた楽しい楽しい。
 特に張さんと対峙することになる彼、死んで欲しくなかったので気が気ではなかったのですが、どうにかこうにか生き残ってくれてほっとしています。できれば幸せになって欲しいのですが、凶手って彼にとって幸せなんでしょうか。
 とにかく、虚淵作品全体にいえることですが好みが分かれると思いますし、少なくともブラック・ラグーンの知識が無いと面白さが半減してしまいますが、知っているのであればお勧めできる一品でした。
 余談ですが、サブタイトルを最初「シエター・ネバーダイ」と読み違えてしまったおかげで、最後の最後まで正式なサブタイトルである「シェイターネ・バーディ」を覚えることができませんでした。

 で、また思いついてしまったので、今日のさくっと(略)はブラック・ラグーンのSSです。これまたオチも山もない作品ですが。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ「後日談」
(注意)ネタバレを含んでいます。


 それは、とある昼下がりのことだった。
 少し前まではレヴィがニトログリセリンのように少しの刺激で爆発するほど忙しい日々が続いていたが、ここ最近は腰を落ち着けていられることが多くなっていた。
 と、そう言えば聞こえはいいかもしれないが、端的に正確に表現するなら、まったくといっていいほど仕事がないだけの話だった。
 異常というほどのことではない。これぐらいの閑散期というのは稀に発生することがある。そのため、そんな時期の過ごし方というのは皆自然と弁えていた。
 だが、殺人的な忙しさから唐突に開放されたとなると話は別だ。
 機材や銃の整備など二の次で、今は少しでも人間の休養が必要な状況だった。
 今、ラグーン商会にはロックとレヴィの二人だけがいた。その二人も明らかに覇気がなく、ロックはいつもよりもよれたワイシャツを着てベニーが買ってきた雑誌を呆と眺めているし、レヴィは起きているのか寝ているのかわからない様子でだらしなく机に足を放り投げていた。
 今いない二人――ダッチとベニーは、先ほど「用事がある」といって出かけていってしまった。といっても、そのような予定をロックもレヴィも聞いていない。二人に隠れて連絡をとり、その用向きを伝えないというのは、よほど重要な話でもないのであればこの場から離れるための方便なのだろう。
 ご苦労なことだとは思うが、人間の疲労の取り方はなにも休息だけではない。気分を入れ替えるのも十分に疲労を取り除いてくれるのだ。
 緩慢で無為な時間を過ごしているとロックが感じていたその時、レヴィが口を開いた。
「なあ、ロック」
「ん、なんだい、レヴィ」
「お前、あたしのSMショーの映像、見たか?」
 まったく不意打ちのその一言はレヴィの口からロックの耳にまで音速で届けられたが、そこから脳までの速度は死にかけのナメクジのようにゆっくりとしたものだった。
 そして、その言葉がようやくロックが理解できたとき、最初に出た言葉は、
「は?」
 というごく短いものだけだった。
「は? じゃねぇよ。見たのか見てないのか、簡単な二択だ」
 そういえば後の忙しさから完璧に忘却の彼方に葬り去っていたことだが、ロックがとある"ニンジャ"に不覚を取ったあの夜、レヴィはローワンの店で"汗かき鯨"なる酷い愛称の相手と一戦を交えていたという。その様子はローワン側には一切録画させなかったらしいが、どうもなにかに使う目的でレヴィが録画していたらしい。
 らしい、というのは、ロックにとってその情報はベニーから聞かされたものでしかなく、それを見る機会がついぞ訪れなかったためだ。
「ああ、いや、見てないよ」
「そうか。なら、いい」
 これ以上話すことはない。そういわんばかりにレヴィは手を振った。
 終わってみれば何であんな事をしてしまったのか、レヴィは少しばかり後悔していた。
 レヴィが後悔する。この事をダッチに伝えれば「良くないことが起こる前兆だろうぜ」と言うだろうし、レヴィと少しでも親交がある相手ならば言い方は違えど同じような感想を抱くに違いない。
 しかし、それは紛れも無くレヴィの嘘偽らざる気持ちだった。
 実際、レヴィは過去を振り返らない。それは意味の無いことだと思っているからだ。
 そもそも、そのような暴挙に出た理由と言うのが、ある人物に対する意趣返しからだった。だからこそ頑なに拒み続けていたSMショーへの出演も認めたし、それを映像に残す事も容認した。
 だが、意趣返しも終わり、拳銃遣いとしての決着もついた今となっては、あの映像は邪魔以外の何者でもなかった。
 ネット上に流した映像は基本的に回収不可能だ。動画自体はベニーの万全なプロテクトにより直接は流出しなかったものの、やはり他の手段を用いて保存されることは止めようがなく、実際に動画が流れた直後にアイコラ画像が多数作られるなどレヴィにとって不愉快な事態に陥っている。
 それによって実害を被ることはないだろうし、仮にあったとしても女王様を求めてドMが寄ってくることぐらいだろう。そういった輩には鞭の代わりに9mm弾の一撃をくれてやることにすればいい。なんなら本当の意味で昇天させてやる事もやぶさかではない。
 だが、実際にそのようなことが起ころうが起こるまいが面倒くさく不愉快な事になっている事実に変わりはなく、何度か頭を掻きこの忌まわしい記憶を吐き出してやろうとするが、自分が忘れたところで画像自体は残るので無意味だと悟った。
 結局、やはりいつものように過去を考えることは無意味と割り切るしかないのだと、だらしなく放り投げた足を組みなおした。


 レヴィ、SMショーに出たのは後悔してるだろうな、と思い書いてみました。
 まあ、忘れている可能性も意趣返しのためなのでまったく後悔していない可能性もレヴィなら十分にありますが。
 ちなみに、他の頭の中のプロットとしては、「海賊娘とのその後」「シェンホアとニンジャ」というのもありましたが、その分はそれを書きたくなったら、ということで。一日で全部書くにはさすがに長すぎでした。


11月19日

 今日も今日とて急な用事が入り、時間がなくなってしまいました。
 と、いうわけで、今日はさくっと(略)をお休みします。
 ううむ、あと三回ぐらいで物語に決着をつけ、館長と助手に一回話させて終了、って感じでしょうか。予定とは往々にして狂うものですが。
 そして、それが終わったら今年はとりあえず中編を一つ出すためにさくっと(略)を止めようと思います。この前の狼と香辛料のように一回限りのSSを思いついたら書くかもしれませんが、何回かに及ぶ作品はなし、という感じに。
 あと、それにプラスして投稿用作品を書かないとまたルーザー(負け犬)になりそうですので、そちらも平行して書いていこうと思います。


11月18日

 そろそろ今年も終わりに近づき、作品を何か一つ出さないとまずいなーと思っている今日この頃です。
 現時点での予定は、

1、アイマス大戦第二話(四分の一くらいできてます)
2、ガンナーズ・ハイ2(虚淵ブラックラグーンに触発され)

 って感じです。というか、ガンナーズ・ハイは主役が二挺拳銃(トゥーハンド)だったり、できの差は推して知るべしとはいえ、ブラックラグーンの類似品のような気も。
 もっとも、初めてガンナーズ・ハイを書いたのはブラックラグーンを知る前ですが。その頃はブラックラグーンではなくワイルダネスに夢中でした。
 ちなみに、現在ブラックラグーン、ワイルダネス、ヨルムンガンドのサンデーGXガンマンもの三種を集めていたりしますが、現状で好きな順番は、
1、ワイルダネス 2、ヨルムンガンド 3、ブラックラグーン
 と、なっています。たぶん同じ順番の人は少数派かと思いますが。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その12


 スイッチが入る――そう、自分ではこの瞬間の事を呼んでいた。
 何もかもを超越し、自分が銃を撃つ装置、ただそれだけになる瞬間だ。
 どこまでも五感は鋭敏に。それを全てが一点に収束するような集中力を持って、ともすれば過敏になりすぎるそれを操る。
 圧倒的な開放感。この空間における全ての事象をことごとく感覚のみで把握しつくすのだ。
 すると、聴覚が動くものを捕らえた。現地点から右前方に一つ、おかしな表現だが、見事なまでに足音を消しつくして歩く音が聞こえてきたのだ。
 そのまま感覚を広げれば、ちょうど真正面、しかし部屋の端に人物の存在を察知できた。
 この二人が生き残りと見て間違いは無い。そして、その二人の位置から察するに、真正面の人物が全体の監視を行い、もう一人が伏兵として俺に直接手を下すべく潜伏しているのだろう。
 位置さえつかめればこの仕事はえらく簡単になる。一人の射線を把握し、決してそこに踏み入らないように一人を始末すればいいのだ。
 即座に行動を開始する。障害物に隠れ、段差を把握し、常に一方の人物からの攻撃を受けぬよう、しかし最短距離を最速で駆け抜け近いほうの人物に奇襲をかける。
 そして、僅か三十秒で接敵。敵も驚愕と共に攻撃を仕掛けようと構えるが、こちらが引き金を引き絞るほうが少しばかり早い。
 一秒をいくらでも分割できるほどに研ぎ澄まされた集中力で、分間二千発の連射速度を誇る機関銃が何発打ち出されたのかを把握し、そしてそれがどのように相手に食らい付いたのかを見届ける。
 的中十三発。外れ六発。合計十九発の弾丸が機関銃から吐き出され、敵の生命を速やかに奪い取った。
 間違いなくもう一人は何が起こったのかを把握しただろう。だが、それは遅すぎると言わざるを得ない。俺のこの感覚に捕らえられたら、そう簡単に逃げ出せるものか。
 ふと、唇に湿り気を感じ、下でそれを舐め取る。
 鉄の味。
 ――想像していたよりも、早い。
 それは、鼻腔から流れ出た血だった。
 この状態は脳に通常では考えられないほどの負荷を与える。この異常ともいえる感覚がノーリスクで使えるほど生体科学は発展していない、ということだ。
 だが、問題はない。あと何分動けるか、正確に把握することはできなくとも、今までの経験からすればあと三分は問題なく活動が可能で、五分はなんとかなるだろう。
 リミットを過ぎればどうなるか、そうならないように訓練を受けてきたため、どうなるかは一切知らされていないから知る由も無い。
 だが、大体は想像できる。
 その未来に逆らうよう、俺は再び走り出した。


 展開が早い? ごめんなさい、長々とやりすぎたのでいっぺんに畳んでます。

 現在
『反乱を起こした機体化歩兵を倒すために機体化歩兵の主人公が投入される』
『全20名の反乱者のうち18名は倒した』
『反乱者を倒した区画には動体センサー付きの爆弾を仕掛けて制圧』
『残りの2名がいる最後の区画は、広い室内に障害物が設置された演習場のような場所だった』
『苦戦を強いられるが、敵がミサイルを使ってきたため形振りかまわず自身を強化し突撃』
 って感じになってます。

 正直なところ、自分でもよくわからない状況になってきたため一旦やめておきたいところなのですが、そんな感じでもう二つも途中停止させているためここは意地でも無理矢理でも完成させて後で直したいと思います。
 そのために、さくっと(略)を纏めたページを近いうちに作らないといけませんが。


11月17日

 狼と香辛料を読み終わり、次は小説版のブラックラグーンを読み始めました。
 まだ序盤ですが、虚淵らしい文章に心ときめかせております。
 感想は読み終わったときに一気にしますが、先が楽しみで仕方ありません。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その11


 室内用アクティブホーミングミサイル。それは、撃ちっぱなしが可能な低速かつ感度の高いセンサーを備えたミサイルである。
 本来、このような巨大なドーム内に迷宮をしつらえたような場所ではなく、もっと狭い室内で使うために開発されたそれは、火力こそ低いものの人を殺すには十分な機能を備えていた。
 敵味方の識別、多種多様なセンサー、そして、状況に応じたその攻撃方法。
 ミサイルの外装がはがれ、内部の機構が露になった。
 ――冗談じゃない!
 そこに見えたのは、対人用の小弾を幾千幾万も降り注がせるための孔だった。
 それは死を撒き散らす蛇の眼であり、睨まれた俺は蛙だった。
 背筋が凍る。思考が止まる。数少ない幸福な記憶が脳内で爆発する。
 だが、そんな思考とは別に、体は瞬時に成すべき行動を選び取っていた。
 上着を脱ぎ――ミサイルが不気味な音を立てる――身を伏せ――威圧感が爆発する――服を広げ銃で支え――撃鉄が落とされるような感覚――――  次の瞬間、全ての音が一つに調和するほどの轟音を立て、わずか一秒、しかし局所にばら撒くには無数といっていい数の小弾が撒き散らされた。
 頬に、わき腹に、太腿に、ほぼ同時に着弾。頬と太腿はかすっただけだが、わき腹には直撃したようだ。
 しかし、それ以上のダメージは皆無だった。
 小弾の攻撃力は、低い。それこそ、多少の防弾性能しかない上着をゆるく張るだけでほとんどの攻撃を無効化できるほどに。
 もちろん利点も多い。特に小さいと言うだけで大量の弾を持ち運べるし、即死させずに瀕死の重症だけを負わせることもできるのだ。
 だが、機体化歩兵単体に使うのには少々無力すぎだった。体内に銃弾が残る異物感を無視しつつ、それを証明して見せた俺は立ち上がった。
 頬と太腿の怪我はたいした事は無い。だが、わき腹は少しばかりこたえる。肩とあわせ、これでは本来の実力を発揮することはできないだろう。
 俺は大きく息を吸い、ゆったりと吐いた。
 だが、動ける。むしろ問題なのは、相手がこの手の装備を持っているという事実だった。
 もしこの後何回もこの手の攻撃が続くのであれば、相手にたどり着く前に俺は戦闘力を失うことになるだろう。それは、まずい。
 死にたくない。任務に失敗することなど許されない。二つの思考がどろどろに溶け、かき混ぜられ、作り上げられた思考は酷く単純だった。
 すなわち――任務の完遂に死力を尽くす。
 生きるために死力を尽くすとは、なんとも皮肉な話だった。



11月16日

 今日はカッパ寿司ですしを食べました。
 貝類フェアと言うことで様々な貝類があったのですが、あまり貝は好きではないので、普段どおりのラインナップで食べてきました。
 ただ、少し違ったのは、海老天寿司を食べたことです。
 もともと天むす(海老天を具にしたおにぎり)が大好物なのですが、昔カッパ寿司で食べた海老天寿司があまりおいしくなかったため今まで遠慮していました。
 ですが今回、何の魔が差したのか久しぶりに食べてみました。
 結論を言うと、意外とおいしかったです。
 前食べたときはやたら油がギトギトして酢飯との相性も悪く気持ち悪くなったのですが、今回のそれはそれなりにサクサクで油もそこまで多くなく、天むすのような感覚で食べられました。
 もっとも、以外においしいとはいえそれなりですし、天むすと違ってたれなんかがないので好まない人にとってはやはりあまりおいしく感じられないと思います。

 今日のさくっと(略)はお休みします。
 昨日の狼と香辛料で夜更かししすぎたおかげで、やたら眠く頭が働きません。
 といっても、書き始めたのが遅いだけで執筆時間は構想含めて一時間ぐらいですが。

11月15日

 買ったまま放置していた狼と香辛料の九巻を読み始めました。
 まだ途中ですが、久しぶりに大きな商談で面白いです。最近はホロとの話に焦点が当たっていたため、そういう話は控えめになっていましたので。
 で、話を思いついてしまったので、今日のさくっと(略)は狼と香辛料のSSです。
 あまり山も落ちも無い作品ですが、一つの疑問からパッと書き上げてみました。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー 狼と香辛料「道中にて」


 それは一日の終わりに、月明かりに照らされ焚き火を囲みながらぶどう酒と固いパンで晩餐を行っているときのことだった。
 ちろりちろりと舐めるように酒を飲んでいたロレンスが、固いパンにぶつくさと文句を言うホロを見ながらふと口を開いた。
「なあホロ」
「なんじゃ」
「なんでお前、耳と尻尾は狼のままなんだ?」
 それは旅を始めたころから、小さいながらも確かにロレンスが抱き続けていた疑問だった。
 ホロの本当の姿は巨大な狼である。それがいかなる奇跡をもってか、こうして女性の姿をして旅を共にしているのだ。
 狼と人間。その両者に共通する点は、卵を介さず母が子を産むと言う点だけのように思える。それほどまでに違うものがこうも見事に変身できるのに、なぜか耳と尻尾は大きさこそ違うがそのままなのか。
「つまらん質問じゃな。そんなことが気になるのかや?」
「……ああ、そうだな。好奇心が無い商人は、思わぬところで損をするものだしな」
「その好奇心に身を焼かれてしまうこともありんす。……といっても、これはそう難しい話でもないのじゃが……」
 ふいに言葉を切り、ちらりとホロがロレンスの顔を窺う。
「ん、なんだ?」
「なに、授業料代わりに、明日の晩には残った保し肉を少しと、酒をいつもより多めに振舞って欲しいだけじゃ。あと何日もせずに次の街に着くのじゃから、そう難しい話でもないじゃろ?」
 確かに、荷馬車に残っている食料は切り詰めれば二週間はすごせるだけの量があった。ちょっとやそっと多めに振舞ったところで、ゆうゆう次の街までは保つ。目ざといホロのことだ、それを十分承知した上での交渉だろう。
 だが、酒や干し肉は日持ちする。ここで消費しなければ買い足す量が少なくてすむ。つまり、余計な浪費をしなくていいのだ。
 ただでさえ街でホロは贅沢に飲み食いする。それを色々と理由をつけて止めることは困難であり、唯一食費を抑えられるのは道中の食事だけなのだ。
「なあなあ、ぬし、いいじゃろ? なに、そんなに多く飲み食いしたりはせぬ。街も近いことじゃし」
 だが、結局そんなロレンスの葛藤などほとんど無駄だった。
 この老獪な狼にロレンスが口で勝つことは至難であり、なおかつ今は暇にあかせて迂闊に質問をしてしまった身だ。ここで「いや、聞かなくてもいい」といえば、どんな目に合わされるかわかったものではない。
「……少しだけだぞ」
「ぬしもなかなか話がわかるようになってきたの。じゃあ、教えてしんぜよう」
 もったいぶってホロが立ち上がり、まるで教師がするかのように語り始めた。
「まず、人間とわっちら狼との体の違いはなんじゃと思う?」
「……多すぎて答えられない、としか言えないが……」
「たわけ。そう難しく考えるでない」
 もし手が届くなら、できの悪い生徒にするようにロレンスは頭をぽかりとやられていただろう。
「まず、わっちらには脚がある。人間にも脚がある。わっちらに手は無いが、かわりにもう一組脚がある。そしてそれを支える胴体があり、首の先には頭が乗っかっておる。頭には目があり、すこしばかり尖ってはいるが鼻も口もある。どうじゃ、人間とほとんど同じじゃろう?」
「確かにそう考えるなら人間と狼の体の作り……というよりも構成に大きな違いはないな」
 そうじゃろう、と言いたげにホロが胸をそらした。あまり大きくは無い胸が少しばかり存在を主張し、炎と月明かりに照らされる。
「わっちは人に化けてはおるが、自分の体を消したりはしとりゃせん。わっちの大事な尻尾がこのように素晴らしい姿をさらしておるのは、そういうわけじゃ」
「なるほど……だが、その耳はどうなんだ? 耳はこの通り、人間にもあるぞ」
「うむ、もっともな質問じゃ。それはな、わっちらと人間の感覚の違いの問題じゃな」
「つまり?」
「ぬしら人間は、その感覚の多くを目に依存しておる。対してわっちらは、それと同じように鼻や耳にも依存しているのじゃ。鼻は人間と同じようでも、大まかには違いがありんせん。しかしな、耳は違う。わっちらがするように人間は耳を動かして後ろに気を配ったりもでぬし、大きさも足りぬ。人間で言うなら、目をふさがれたようなものじゃ」
「つまり、不安だからそれはできない、ということか」
「そうなるの。もっとも、耳は人と同じものにしようとすれば不可能ではないが、わっちはヨイツの賢狼ホロ。この優れた機知でいかようにも隠しとうせておるじゃろ?」
 そこまではなし、ふとホロが表情を曇らせた。
「それとも、ぬしはわっちが人間の女子と同じ姿でなければ、いやなのかや?」
 不意打ちだった。ロレンスとてもうホロと短い付き合いではない。これがいつもの手だと言うことは理解しているのだが、そうとわかっていてもどうしようもないものもある。
 自分はどんな顔になっていただろうか。少なくとも、愉快そうに口元をゆがめるホロを見る限り、平静を保ったままだった、ということはないだろう。
「くふ、ぬしもまだまだじゃな。構えていなければ、簡単にひっかかりおる」
 ロレンスは両手を挙げ、降参だと言葉に出さずに態度で示し、残っていた酒を一気に呷った。


 ふと、なんで人間になった獣は耳と尻尾が出てしまうのか、という事を疑問に思い書いてみました。時期的には結構序盤で、三巻ぐらいでしょうか。
 獣が耳と尻尾で表現される最大の理由は、神である手塚治虫がそうしたから、だと思いますが。
 最初にナプキンをとったものがこの世界のルールを決めるのです。


11月14日

 漫画のグレゴリーホラーショーアナザーワールドを読みました。
 原作ゲームのある作品なのですが、原作を持っていないうえに良く知りもしない私でも十分に楽しめる出来でした。
 この作品はネタバレすると楽しさが半減してしまうと思いますので実際の内容には触れませんが、世にも奇妙な物語が好きなら間違いなく楽しめると思います。また、物語の進展や解決の方法も好みでした。  画のほうはあまり詳しくないのですが、非常に迫力があって引き込まれました。とても不安になるような大胆さでグレゴリーハウスの中の『おかしさ』を見事に表現しています。きっとこの作者の方以外では、きっとこうは行かなかったでしょう。
 余談ですが、単行本の色分けに驚きました。実際に横から見ていただければわかりますが、非常にカラフルです。

 今日のさくっと(略)はお休みします。
 グレゴリーホラーショーは面白かったのですが、面白かったが故に色々衝撃を受けてしまいました。一日頭を静めたいと思います。
 ミスターブシドー風に言うなら「興が乗らん!」というやつですかね?


11月13日

 月に一回はやってしまう、雑記の更新を忘れて寝ようとする日がやってきました。
 いやあ、危ない危ない。ボーっとしてました。せっかく毎日欠かさずに書いているのですから、こんなことでそれが途絶えてしまうのはもったいないですので。
 できるなら常に緊張感を持って生活するのがいいのでしょうが、それだと疲れ果ててしまいます。逆に今のように緊張感なく生活すると今日のような自体を頻発してしまいます。
 程々が理想的なのでしょうが、難しいですね。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その10


 障害物を盾に、隙間を縫うように走る。
 相手はまだ視認できていない。そもそもこちらが顔を出せば、即座に銃弾が雨あられと飛んでくるだろう。なにより、こちらの位置も知られてしまう
 しかし、相手が常にこちらの位置を確認できるように動いているとは限らないのではないか、という思いが頭をよぎる。
 常にこちらの位置を確認できると言うことは、こちらからも常に位置が確認できるということなのだ。人間の限界を超えた集中力の持続が可能とはいえ、視角は人間と変わらない。一瞬でもこちらを確認するのが遅れれば、有利なのはむしろ俺になるはずだ。
 だが、そんな甘い考えは捨てる。逆にこちらが相手の場所を間違えれば圧倒的に不利になるし、何より残った相手は二人なのだ。二人で監視していればより広く監視できるため俺のほうが前提条件から圧倒的に不利になるし、一人が監視しつつもう一人がどこかに身を潜めているとすれば俺の位置をみすみす知られることはかなりまずい。
 結局、細心の注意を払いつつ射撃の行われたポイントを目指すしかない。
 その時、耳に何か不吉な音が届いた。今度は鍛え抜かれた勘が伝える未来の音ではない。確実に、そこにある恐怖として届いたのだ。
 瞬時に音の発生源を探り、顔を上げる。
 そこには、室内用に開発されたアクティブホーミングミサイルが、一つ目のようなセンサーの集合体をこちらに向けながら上空を飛んでいる姿があった。


 とうとう10になってしまいました。
 もう少し短く完結に書く力ときちんと計画立てて欠く力が必要ですね。


11月12日

 だいぶ寒くなってきましたが、いまだに部屋の中に蚊がいます。
 夏の盛りほど早く動けないようですが、それでも素手で潰そうと思うとなかなか手間取ります。
 殺虫剤を使えれば楽なんですが、あれはあまり好きじゃありません。口や喉がイガイガして気分が悪くなりますので。
 まあ、彼らも一生懸命生きているのですから、せめてこの手で葬ってやるのが礼儀と言うものでしょう。たぶん。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その9


 視界にかぶさり、二次元的な見取り図が見えるようになった。最初の頃は気分が悪くなったものだが、今では必須とも思える機能だ。
 制圧済みの箇所を省き、最後の区画を大きくする。
 今までは通路と部屋を組み合わせた普通の施設だったが、最後に残されたこの場所は少しばかり勝手が違う。
 なぜなら、広い室内に障害物が点在するという、屋内演習場のような造りとなっているのだ。
 いったいこの施設がなんなのか、ますますわからなくなる。重要施設とだけは説明されたものの詳細は一切伏せられていたし、施設内部を確認しようにも一部の部屋は入ろうとすると警告文が直接目に投影され、体の動きが制限されてしまった。
 もし敵と接触している最中だったらと思うとぞっとするが、今はそれを考えても仕方がない。なにより、末端の兵士にして兵器たる俺に全ての情報を開示する必要などないのだろう。
 見取り図から最適な移動ルートを割り出しつつ、俺は行動を再開した。



11月11日

 先日からの作業がとりあえず終わりました。
 まあ、完全に終わったわけではないのでもう少し関わる必要がありますが、とりあえずかかりっきりになる必要は無いと思います。
 なにか大きな問題があれば別ですが。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その8


 瞬間、体が跳ねた。
 比喩ではない。文字通り地面を蹴って体を押し上げたのだ。
 あまりの勢いに頭部を置き去りにして体が半回転するが、強化された五感は起こった事全てを余すことなく捉えていた。
 銃弾は基本的に音よりも速い。この時代においては拳銃でさえ例外ではない。
 しかし、何度かの実戦と、実戦よりも死に近い過酷な訓練をその何十倍もくぐり抜けてきた俺の耳には、確かに銃声が聞こえていたのだ。
 結果、その音に反応した脚部が体を飛び跳ねさせ、もともと腹部があった場所を銃弾が通り過ぎるのを反転した世界で俺は見つめることになった。
 今度は側面の壁を蹴って這うように地面に戻り、そのままの姿勢で前進。物陰に身を潜める。
 銃の飛んできた位置からするとここは死角になるだろうが、確実とはいえない。相手は移動するのだ。脳内に仕込んである情報チップから網膜にこの区画の細かな見取り図を表示させた。


 久しぶりなので、感覚を思い出しながら少なめに。
 ちなみに、銃弾の弾は速ければいいというものではありません。速すぎると貫通してエネルギーが無駄になったり、兆弾になったりしますので、弾の中にはわざと低速になるように作られたものもあります。
 ただし、今回は相手が肉体的に強化された機体化兵士であり、速度を高めても貫通せず体内に残るとされたため通常の弾を用いています。


11月10日

 今日初めて掲示板にスパムとやらがやってきているのを発見しました。
 初めてなので物珍しさも手伝って微妙に嬉しい気分なのですが、これが連続したら鬱陶しいだろうな、ということで『http:』を禁止ワードにしました。

 突然ですが、私はロボットものが好きです。しかし、最強無敵なロボットは嫌いです。やはり兵器なのですから、それに応じた戦術があり、利点があり、弱点がないと面白く無いと思うのです。
 然るに、ロボットものとはいえそれ一つしか兵器が出てこないのには違和感があります。いくら優秀な兵器とはいえ、それ一つにそろえてしまえばその兵器に対して有効な対抗手段が開発されればあっという間に鉄くずの山の出来上がりです。
 逆に、だからこそいくつもの兵器があり、それを運用して欠点を補い、その上で対抗する手段をとりつとられつするから面白いのです。

 え? スーパーロボット? あれは作品を見ていただければわかりますが主役はボロボロになりますし、あれだけ強いともはや兵器ではなくヒーローです。
 馬鹿にしているわけではありません。むしろ大好物です。あれぐらい強いと形状は趣味の領域ですから、もはや強さと強さの熱いぶつかり合いになりますし。

 ちなみに、モジノカケラ唯一のロボット物、アイマス大戦に出てくるREは兵器としてはかなり落第な代物、という設定だったりします。これは元のサクラ大戦もそうですが、素材のシルスウス鋼が物理的には非常に脆弱なものであるため、普通の人型燃機が耐えられるような攻撃でも意外とあっさりとダメージを受けたりするためです。
 もっとも、霊力自体に防御力があるため、パイロット込みなら3メートルの小さな兵器としてはなかなか優秀な性能を持ちます。ですが、霊力や妖力が関わらない実際の戦争で使うなら戦車のほうが強いです。しかもREに比べると安いですし。

 で、長々と語ってしまいましたが、今日もさくっと(略)はお休みします。
 昨日からやっていることがまだ終わっていないためなのですが、もう終わりが見えているので明日には再開できると思います。


11月9日

 弟は沖縄で椰子の実の刺身とか食ってやがるらしいです。なんでも、イカの生臭さをなくしておいしくした感じだとか。素直に羨ましいです。
 羨ましいので、今日は寒かったことですし鍋焼きうどんを食べに出かけました。
 しかし、出た時間が悪くほとんどの店が準備中になっていました。ガッカリ。
 かわりにカツ屋でエビフライロースカツ定食を食べてきました。値段も手頃で舌も腹も満足……なのですが、何かが足りない気がしました。やはり鍋焼きうどんを食べに出たのにカツ屋に方向転換は急すぎました。

 今日はさくっと(略)はお休みします。やることがあるので。
 たぶん今日明日で区切りは付けられると思いますので、明日か明後日には再開します。
 しかし、このさくっとは予想以上に長くなってきました。まあ、兵器はそれを扱ったエピソードとあわせてより楽しめるものですから、個人的には楽しいのですが。


11月8日

 エヴァンゲリオン新映画版を見ました。
 所々微妙に変わっている箇所を思い出しながら見るのは楽しかったです。
 ちなみに、私が一番好きな使徒はラミエルです。これは始めて見た当時からまったく変わっていないのですが、この映画版には驚かされました。あんなに多芸だったとは。
 そしてなにより、その多芸のおかげでヤシマ作戦がかっこよくなりすぎです。震えました。山どころか私の脳まで溶かされました。
 次の破も楽しみにしたいと思います。もっとも、四部作が終わるまでどれだけ時間がかかるわかりませんが。
 ……そして、弐号機のデザインに若干の不安を覚えますが。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その7


 そうこうしているうちに、銃が貫通した箇所の血がいつの間にか止まっていた。
 体力の消耗を抑えるべく人工皮膚が傷口を凝固させたのだ。機体化兵士ならではだが、痛み自体は遮断していないので脳をじりじりと焼くような感覚は残り続けている。
 だが、問題はない。痛みだけで命に別状は無いし、じきに傷ついた神経も修復されるだろう。便利だが、人間としてはどうかとも思う。
 そんな事を考えつつ、俺はふと一本ずつ指を折り曲げ、そして開いた。それは今まで殺した同胞の数だ。
 死体を確認した数は十六。完全に確認できたわけではないが、室内を手榴弾で吹き飛ばした後に右足が二つあったので、恐らくそれで二人は殺せている。
 つまり残りは二人ということだ。
 さらに、この施設の大半は制圧が完了している。当然俺一人なので人員による制圧はできないが、代わりに自前で持ち込んだ装置を取り付けた爆弾により、俺の命令か動体を捕らえた段階で爆発する。
 もっとも、勝手にそんな装置を持ち込んだことがばれれば大目玉を食らうだろうが、そもそもたった一人で何から何までさせようというのが無茶苦茶なのだ。これぐらいのお目こぼしがあってもいいだろう。というより、してもらわなければ勝ち目がない。
 しかし、そんな装置を用いて確実に行動範囲を広げていったとしても、基本的に直接同胞と対峙したのは俺自身であり、装備品である機関銃と拳銃、そしてナイフだけで止めを刺している。
 意外と何とかなるものだと思う反面、上手くいきすぎではないかという感じもする。
 なんとなく嫌な感じを引きずりながら、俺は最後に残された区画へと足を踏み入れた。



11月7日

 うーん、いくら願っても、そうそう面白いことが起こるはずもなく……やはり、ここで書くネタは自分で見つけるぐらいでないといけませんね。そういう姿勢のほうが、色々発見もあって作品にも生かせそうですし。
 ただ、私に面白おかしいことがなくとも、明日から弟が沖縄に旅行に行くそうです。物理的な土産よりも、物を書く身としては土産話を期待しようと思います。

 明日早いので、今日もさくっと(略)はお休みします。五時前に起きるには、さすがに日付が変わる前に眠りたいので。
 日付が変わる前に寝るのは、けっこう久しぶりのような気がします。
 いけません。生活のリズムがおかしくなっています。健康のためにも、なるべくリズム良く生活したいものです
 ……もっとも、夜中のほうが筆が進むタイプなのでどうしても晩くまでおきていてしまうのですが。


11月6日

 今日は特に何もなく書くことがないので、さくっと(略)にさっさと参りましょう。
 ……明日は少しでも何か面白いことがありますように。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その6


 そのおっさんこそこの基地の指令なのだが、威厳も知性もまるで感じられない出で立ちと行動からまったく尊敬されていない人物だった。もちろん、俺もその一人だ。
 しかし、そんな人物でもいかなる魔術を用いたのか一応は司令だ。精一杯の敬意を搾り出して敬礼をする。
 そんな俺の動作をどう感じたかはわからないが、とにかく指令はそのまま率直に本題を切り出してきた。
 曰く、叛意を翻し脱走した機体化歩兵がいるが、貴様はどうだ? だそうだ。
 知るか、と言いたい。
 そもそも、基本的に機体化歩兵はその大半が隔離されて生活しているのだ。週に一度ぐらいは何人かと顔をあわせる事もあるが、そのときは監視が付けられている。
 そんな人を人とも思わない状況で俺たちを飼っておいて、よくそんな質問ができるものだと感心してしまう。
 だが、ここはぐっとこらえて知らない旨をできる限り冷静に伝える。言い返したところで何の益にもならないことはわかりきっているし、逆に叛意ありととられてしまう可能性もある。
 もっとも、そんな状況下で脱走した奴が何人もいるのだ。知らないという言葉だけで信用されるはずはないだろう。そんなことは百も承知だったが、胃の奥に何か重いものを放り込まれたような気分になる。
 だが、意外にも指令はこの言い分をあっさりと認めた。それどころか、すこぶる偉そうにだが謝罪までしてきたのだ。
 不気味だった。兵士が最も信頼を寄せる第六感の辺りが危険領域に踏み込んだ事を警告してきた。
 だが、戦場と違い直感に身を任せて逃げ出すことがこの場では許されておらず、結果として俺がその脱走した奴らの抹殺を命じられることになった。しかもご丁寧に、実は脱走したと言うのは事実の半分程度のことでしかなく、逃げ出した奴らは十分な武器弾薬を入手してとある重要施設を占拠したというありがたく無い情報まで追加された。
 敵は武装し篭城する機体化兵士で、規模は二十人。対する俺はたった一人。断れば銃殺、裏切れば取り付けられた爆薬で主要の内臓を木っ端微塵のおまけ付きだ。
 同胞を殺すことに関しては、実はあまり抵抗が無い。そういう教育を受けてきたせいでもあるが、そもそも脱走などという真似をしでかしたからそうなるのだ。自業自得と言える。
 しかし、むしろ俺は殺す事を心配するより、殺される事を心配しなければならない。戦力差は圧倒的なのだ。十中八九、相手を全滅させるより前に俺が死ぬ。
 だが、命じられたからにはやるしかない。それが兵士であり、俺たち機体化兵士なのだ。
 ……酷く理不尽な話ではあるが。



11月5日

 今日は借りてきた「ピューと吹く!ジャガー」を見ました。
 なぜこれを映画化しようと思ったのか、そこを監督に小一時間問い詰めたいですが、それはともかく感想を。
 出来としては「う〜ん」という感じです。まあ、原作の漫画がとても映画に向いているとは思えない代物ですので、これだけできれば十分と言う気もしますが。
 ただ、キャストは頑張っていると思います。見た瞬間に「こいつはこのキャラだ!」とわかるようになっていました。特に男性は。
 女性は高菜さんとかはもともと外見が特徴的で無いので見た目ではわからなかったのですが、床屋のばあさん(名前は忘れました)や宗教の勧誘のおばさんは一目でわかりました。
「面白い映画が見たい」と思っている人にはお勧めしませんが、「ジャガーさんが好き」で「ジャガーさんのキャラが実写かされるとどんな感じなんだろう?」と思い「それなりに心が広く」「ネタをネタとして受け入れられる」なら、楽しめると思います。
 まあ、できることならマサルさんみたいな感じでアニメ化されるのが最善だと思いますが。

 で、今日はこれからもやることがあるので、さくっと(略)はお休みします。映画を見といてなんですが。


11月4日

 ネットでの人付き合いって難しいものですね。
 私ではないのですが、よくお邪魔するサイトの一人が自作自演しただのどうのこうので揉めているのを見てそう感じました。まあ、実際IPで自演したのは確定したのですが。
 ネットは基本的に匿名でもなんでもないので、気をつけないといけません。
 といっても、基本的に文句などは自分の中だけで処理してしまうタイプなので、そういうごたごたに巻き込まれることは無い、と思いたいです。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その5


 銃弾が左の二の腕に突き刺さり、血をまといながら貫通していく。
 即座に痛覚を半減させ、灼くような痛みを鈍痛に変える。カットもできるが、戦闘中にそれをするのは危険だ。左腕全体の感覚が鈍るし、なによりも自身の身体の事を把握できない状態では、どんな不具合が起こるかわからない。
 無事な右腕で保持していた機関銃で打ち返すが、手ごたえはない。俺を撃った後、即座に退いたのだろう。
 その行動は正しい。地の利、武器の優位、数、全てが上回っているのだ。ヒットアンドアウェイを繰り返し、徐々に戦闘力を殺いでいけば、自然と勝ちが決まるのだから。
 次に襲撃が行われるまでにそう時間はないだろうが、少しでも目的地に近づく必要がある。俺は傷ついた腕の治療を行いながら、最大限の注意を払いつつ先に進んだ。


 事の発端は、一日前に遡る。
 いつものように教えられた事を反復練習していた俺が、突然司令棟に呼ばれたのだ。
 司令棟と言えば、俺たち機体化兵士が暮らす軍事施設の中でも最大級にセキュリティレベルが高く、不用意に近づくだけで厳罰を受けるような場所だった。
 命令に従い司令塔に足を踏み入れると、そこは粗末ながら機体化兵士が個々人で接触できないように作られた気分の悪い兵舎と違い、清潔で機能的な場所だった。この格差について指令に抗議してやろうか、という気持ちにもなるが、無駄に終わることは明白なので堪えておこうと思う。
 俺の動きは全て監視されているのだろう。行く先々の扉がセキュリティチェックもろくにせずに開いていく。
 そして、たどり着いたのはふくよかな壮年の男性が……いや、ここははっきりと言わせてもらえれば禿げたデブのおっさんが高そうな椅子にふんぞり返って座っているという、なんともアレな光景が広がる司令室だった。



11月3日

 今日は冲方丁の「ばいばい、アース」を読んでいました。
 元よりファンなので楽しめていますが、やはり初期の頃の作品だけあって少し文章がこなれていない印象を受けます。
 しかし、ガーッと書き上げた、という感じの熱意溢れる感じが楽しいです。
 まだ三巻の途中なので感想は控えますが、早いうちに四巻にまで読み進みたいと思います。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その4


 そう考えるとなかなか使えるもののように思えるが、助手はふと館長の言葉を思い出した。
「ですが、機体化兵士はこの少年ただ一人なんですよね、量産されずに。それはやはり、なにか致命的な欠陥があったということじゃないんですか?」
「いや、機体化兵士には欠陥らしい欠陥はないよ。そりゃ、最新の機械で身体を作っているんだから不安はあるだろうけど、その技術自体は過去から蓄積されたものだし、それ以外に特殊な兵器や装備を埋め込んでいるわけじゃないから動作自体はまず保障されているといっていい」
「では、機体化兵士が有効であるという前提条件、使える場所で必要なだけの能力がなかったということでしょうか」
「うーん、それは微妙かな。実際、目標の性能には足りていないけどそれでも十分な性能はあったし、なにより技術がさらに発達すればその目標だって達成できたはずだよ」
 思わず助手が首を傾げる。性能的に不足はなく、効いた限りでは『玄界』のような欠陥もあるようには思えない。
 いくつも頭から疑問符が飛ぶが、それでも答えでそうにはなかった。
「まあ、何があったのかはこれを見てもらえればわかると思うよ」
 館長は台をいじり、ウィンドウを何かの映像に切り替えた。
 そこには、あの少年が銃を持ち立っている姿が映し出されていた。



11月2日

 三連休の中休みです。みなさん、有意義に過ごしてますか?
 そうでない人は、後一日ありますので有意義にすごす努力をしましょう。有意義に過ごしている人は、そのままでいましょう。
 ちなみに私は、努力をしなければならないほうです。ううむ、明日には本の一冊でも読了してやろうと思います。

 さくっと作品を書いて見ようのコーナー架空兵器編2「機体化兵士」その3


「優秀な兵器とはなにかな?」
「それは……」
 唐突な質問に少しばかり助手の言葉が喉で詰まる。
 優秀な兵器とは、信頼できる兵器であること。つまり故障せず、使うべき場面で確実に動作することだと助手は考えており、それは概ね正しい。
 しかし、それが今この場の答えにふさわしいとは思えない。人間を改造、しかも極秘裏に開発された新兵器など、信頼性の面では皆無に等しい。
 ならば、この場合に求められる答えは何か。少し考え、それを導き出す。
「……使うべき場所で使えるだけの性能があること、だと思います」
「正解」いかにも嬉しそうに、館長が手を叩く。「兵器の、というより全てに通じることだがね。正常に動作する事も大事だが、必要なだけの能力がなければそんな素晴らしい能力もまったくの無意味だ」
 道理だった。戦車と戦うのにいくら確実動作するとはいえ拳銃では戦えないし、だからといって核兵器を用いる必要も無い。もし対等に戦いたいのなら同じ性能を持つ戦車があればいいし、撃破するだけなら極論すれば戦車を破壊できるだけの火力がある砲だけでもいいのだ。
「では、なにがこの機体化兵士には求められていたんですか?」
「簡単に言えば人を倒せるだけの性能、かな。それも、室内などの閉所で」
 なるほど。つまるところ、機体化兵士というのは、少数で施設を制圧するための兵器だというわけだ。
 それなら戦車に対抗できるような性能はいらないし、火力も防御力もそこそこでいい。そして、もともと人間を内部で運用するための施設で活動するのだから、大きさは人間と同じでなければ不都合も多い、ということだろう。



11月1日

 さようなら10月。こんにちは11月。
 と、いうわけで、早いものでもう11月です。すっかり寒くなり、空気の匂いも冬めいてきました。
 で、完璧に季節感を無視していますが、ソバを食べてきました。
 ガイドブックに乗っている店とのことですが、正直そこまで大絶賛、美食家も唸る味、というわけではありませんでした。おいしかったですけど。
 ただザルソバ大盛天丼セットにしては安めのお値段で、十分満足のいく内容だったと思います。
 私の作品もこうありたいものです。

 それで、今日のさくっと(略)はまたお休みします。
 小説を書いていた、という訳ではなく、他の作業を行っていたら時間が無くなってしまいました。
 うーん、もっと時間を上手に使えるようになりたいです。


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